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e-PORTコラム「企業経営とe-PORT」

(ヒューマンメディア財団 主幹研究員(新日鉄ソリューションズ(株)宗森敏也)

私たちの生活の多くは企業による製品やサービスに支えられており、また私たちや私たちの家族の多くは企業で働いています。つまり企業が事業を継続することと、安心で豊かな生活を送ることは不可分な関係と言えます。

ところが、昨今、企業の事業継続を妨げる要因(リスク)は多岐に渡っています。
例えば、「外部環境リスク」(外的な要因によって会社の機能を失ったり、低下させたりするリスク)、「戦略リスク」(業界、市場、企業戦略などが要因に なって事業全体や製品・サービスの優位性を低下させるリスク)、「オペレーションリスク」(会社内部での不十分な計画や標準化、規程、制度等の不備などに よる誤った行動や業務の無理、ムラ、矛盾などが要因になって正常な機能を果たせないといったリスク)などがそれに当たります。

それでは、ITに依存していなかった時代にはこれらのリスクはどのように事業継続に影響していたのでしょうか。

地 震や火事、事故、盗難などといった被害は昔も今も企業継続に少なからず影響を及ぼすことに変わりがありませんが、建物や設備の損壊、盗難によって荒らされ たオフィスの状況は、概ね誰もが目で見て分かる範囲の被害であり、万一の時に備えて避難訓練を行ったり、社員みんなで火の元に注意したり、鍵をかけたりと いった日常の予防もかなり効果的でありました。また業務上のリスクについても専ら人によるオペレーションであり、多くの場面でチェックが働くと同時に、被 害が一気に会社全体に膨れ上がることも稀でした。つまり災害や事故に対しては「備えあれば憂いなし」的世界であり、業務上の問題については「こらっ!」と 上司に叱られるっていうことで済むことが多かったように思います。

つまり、かつては人間がその業務の大半を行い、情報の多くは紙などのアナログ媒体である上、重要な情報は耐火倉庫や金庫といった中で管理されていたからだと考えられます。
ところが、IT社会の進展に伴い、コンピュータやネットワークによる業務の自動化、データの電子化、情報伝達の高速化を実現し、そのリスクが目に見えにくくなってしまい、加えて膨大な範囲に及ぶようになってきました。

特 に、「オペレーションリスク」の範囲にある「情報システムリスク」(不十分な要件定義などによる能力オーバー、ハード/ソフト/アプリケーション/ミスオ ペ等の障害によるシステムダウンや誤動作など)、「外部環境リスク」の範囲にある「テクノロジーリスク」(ウイルス、スパイウェア、不正ネットワーク侵 入・攻撃など)や「災害リスク」(地震、火災、洪水、テロなど)は既に多くの企業の事業継続にとって重大な課題となってきています。

現 在はこれらのリスクに対して、個々の企業が個々別々の工夫と努力と労力により、その回避策を講じているのが現状ですが、そもそもこれらの回避策を講じるこ とは、多くの企業にとって本業ではありません。一方では、ITのオープン化や標準化の進展により、各社の持つハード、ソフト、ネットワークの設備、設置環 境、操作、運用からリスク対策に至るあらゆる部分で共通性が高くなっているにも関わらず、実は共通の苦労を独自に行っているわけです。

“e-PORT着想の原点”はまさにここにあります。

つ まり、ITを保有することに伴う共通性の高い設備や業務を専門家に委ねることで、IT社会における経営リスクを低くしていただくとともに、ITを活用した 事業の拡大にも安心して取り組んでいただこうということであり、結果として企業側から見るとまさに本業への集中、またIT事業者側から見ると企業内に蓄積 していた新たなマーケットの顕在化というWIN-WINの構図です。

e-PORTの提案する「“所有”から“利用”へ」、「ITの社会ユーティリティ化」は、利用側の企業とIT事業者側とのIT保有の役割を再編することであり、結果として利用する企業の事業拡大と経営リスクの低減に貢献していくものであると考えています。

より多くの皆さまにe-PORTの思想をご理解いただき、応援いただけると幸いです。